
ニュルンベルク商工会議所の景気調査によると、2025年初頭のニュルンベルク周辺を指す中部フランケン地方の経済は依然として低迷している。受注残高は低く、投資は控えめで、企業の業況見通しは悲観的だ。景気指数は92.8ポイントと、100ポイントを下回ったままだ。特に製造業で状況が厳しく、多くの企業が人員削減を計画している。(エアランゲンの地方紙 2025年2月3日付より)
【解説】
■ドイツの経済構造は輸出志向の力のある中小企業が地方に散らばっている。分散型の経済拠点構造だ。中部フランケンはその縮図とも言える地域だ。
■ 域内の中心の隣接3都市(ニュルンベルク、フュルト、エアランゲン)および周辺地域は、幅広い産業、サービス、商業が混在する重要な経済的拠点になっている。中でも多数の輸出志向型中小企業が複雑なグローバルサプライチェーンに組み込まれ、地域経済を支えてきた。しかし、地政学的緊張、エネルギー価格の高騰、自動車産業の構造変化といった要因によって、本来の強みが裏目に出たかたちだ。
■ 一方、再生可能エネルギーの拡大、行政のデジタル化、イノベーションの促進といった将来への投資は継続されている。また先週、技術イノベーションの推進や経済安全保障強化を図るEU経済戦略が発表された。地域内の投資とEUの枠組み整備がいつ、どのように地域経済に影響するかが気になるところだ。(2025年2月5日 高松 平藏)
高松 平藏 (たかまつへいぞう)
ドイツ在住ジャーナリスト。地方の「都市発展」がテーマ。プロフィールの詳細はこちら。執筆・講演依頼などはこちら。このサイトの運営者