サッカーワールドカップに合わせて、ドイツの地方紙からインタビューを受けた。

私が住む町の新聞に、サッカーワールドカップについて取材を受け、短い記事が掲載された。これは11月22日に行われる日本・ドイツの試合に合わせたものだ。記事の抄訳を掲載しておく。

2022年11月23日 高松 平藏(ドイツ在住ジャーナリスト)


最初の質問はボイコットについてだった


著しい人権侵害などがある開催地カタールに対して、ドイツではボイコット運動が行われている。その背景は、デモクラシーとスポーツには共通の価値体系があることが大きい。すなわち人間の尊厳を核に、自由、平等などが相互に関連づいた価値体系である。そして、このあたりの質問がまず来るのがドイツらしい。

同時に気になるのが、日本も「デモクラシーの国」であるが、なぜスポーツとの関連付けが少ないのかという点。これはじっくり考えてみるべき問いだと思う。

以下、記事の抄訳。インタビュアーはマーカス・ホラート記者


見出し:ワールドカップは日本でも議論を呼ぶ

エアランガー・ナッハリヒテン紙(2022年11月22日付)。左側の細長い部分がインタビュー記事。


水曜日にドイツチームのワールドカップが始まる。対戦相手は日本。エアランゲンを拠点とする日本人ジャーナリスト、高松平藏さんに話を聞いた。


ー高松さん、今、ドイツではカタールでのワールドカップを巡って激しい論争が繰り広げられており、サッカーファンはボイコットを呼びかけます。日本でも同様の議論はありますか?

はい、あります。しかし、ドイツほど熱くはありません。

ーあなた自身スポーツマンで、スポーツに非常に熱心です。議論について理解できますか、それとも誇張されていると思いますか?

外国人の私から見れば、ドイツは「デモクラシー・クラブ」です。デモクラシーは人々の相互敬意を基礎とするもので、自由と平等はドイツの価値体系の一部。スポーツクラブを見るとこれらの価値体系が実装されているのがわかります。だから、カタールの状況について話し合う必要性はよくわかるし、同意します。

一方、わざと火に油を注いでいて、バランス感覚が失われているように思われることもある。(しかし) FIFA は、この国にワールドカップを与えるという過ちを犯しました。今、カタールでもこういう議論が起こるきっかけにもなることが重要です。

ードイツ対日本の試合を観戦は? 観るならどこで? もしかして友達と一緒?

この日、私はたまたま日本にいて、「地域とスポーツ」というテーマで講演をします。時差もあるので、観戦は分かりません。しかし、講演を聞く人の間で議論が出てくると確信しています。

ー試合の予想は?

3-2でドイツが勝つと思います。ただ、日本代表の多くはブンデスリーガやヨーロッパの他のクラブでプレーしているので、非常に興味深い試合になるはずです。日本もドイツも個人的には重要な国。良い試合をして、より良いチームが勝つことを願っています。どちらが勝っても、私は嬉しいです。

(以上)


著書紹介(詳しくはこちら
スポーツと社会の関係についてたっぷり書きました

地方都市の魅力を高めるスポーツ
スポーツとデモクラシーがなぜつながるのか?

執筆者:高松平藏(たかまつ へいぞう)
ドイツ在住ジャーナリストで当サイトの主宰者。 著書に「ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか」など。
2020年には「ドイツのスポーツ都市 健康に暮らせるまちのつくり方」 (学芸出版 3月)、「ドイツの学校には なぜ『部活』がないのか 非体育会系スポーツが生み出す文化、コミュニティ、そして豊かな時間」(晃洋書房 11月)を出版。一時帰国では講演・講義、またドイツでも研修プログラム「インターローカルスクール」を主宰している。プロフィール詳細はこちら。また講演や原稿依頼等はこちらを御覧ください。