昨年11月、コロナ禍の制限でドイツのスポーツクラブの活動も停止した。クラブは悲鳴をあげている。

2021年3月3日 文・高松平藏(ドイツ在住ジャーナリスト)


ドイツのスポーツクラブは昨年11月からコロナ禍で活動がストップしている。

オンラインでのエクササイズなど、「できること」は行っているが、年があけて以降、「”クリエイティブ”にも限りがある」といった調子で悲鳴をあげている。施設の維持費などのコストはかかる上、メンバーが抜けていくなどの状況がおこっているからだ。

これに対して、複数のクラブが連盟で声明を出すなど、政治や行政に窮状を訴える。昨日もドイツ柔道連盟がメルケル首相あてに公開書簡を出した。また寄付金も集めている。

もとより、クラブはスポーツを軸としたコミュニティという性格がある。クラブが止まっていても会員で居続ける人や寄付をする人がいるのはそのためだろう。

その一方で、クラブを「スポーツサービス組織」と見ている人もいる。また経済的に余裕のない人は、出費を控えたいと思っていることもあるだろう。おそらくこういう人たちが辞めていく。

スポーツクラブとは非営利組織で、全国に9万ある。地域の中でも健康・余暇・社交の大切なインフラのような役割があり、メンバーの生活の質を支える。ドイツの地域社会でクラブの役割や意義は大きい。注視していきたい。(了)


【続報】バイエルン州内務大臣、州内のスポーツクラブへの助成金増額を表明。


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スポーツは地域のコミュニティを作る

執筆者:高松平藏(たかまつ へいぞう)
ドイツ在住ジャーナリストで当サイトの主宰者。 著書に「ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか」など。
2020年には「ドイツのスポーツ都市 健康に暮らせるまちのつくり方」 (学芸出版 3月)、「ドイツの学校には なぜ『部活』がないのか 非体育会系スポーツが生み出す文化、コミュニティ、そして豊かな時間」(晃洋書房 11月)を出版。一時帰国では講演・講義、またドイツでも研修プログラム「インターローカルスクール」を主宰している。プロフィール詳細はこちら。また講演や原稿依頼等はこちらを御覧ください。