エアランゲン市(人口10万人、バイエルン州)の市長が5月から交代した。新市長は34歳と若い。同市の戦後歴代の市長についても見てみる。
2014年6月5日 文・高松平藏(ドイツ在住ジャーナリスト)
戦後、5人の市長たち
今年の5月に就任した新市長、フロリアン・ヤニック博士は34歳、確かに若い。が、同市の歴代市長も皆、比較的若い。もともと同市の経済局の責任者だった前市長シーグフリード・バライス博士は1996年に市長就任。このとき43歳だった。医療都市というコンセプトを中心に推進していった。
同市は元祖・自転車道の整備された町だが、それを推進したのがディートマー・ハールベーク博士。法律家だった。1972年に就任したときは37歳。当時、バイエルン州内では最年少。今もまだまだ元気で、町で自転車で移動する姿が時々見られる。
その前の戦後2人の市長(ハインリッヒ・ラーデス博士、ミヒャエル・ポシュケ氏)も就任時は45歳だった。この2人の市長は市役所に隣接したホール『ラーデス・ホール』、市内の『ミヒャエル・ポシュケ小学校』にその名前が残されている。戦後5人の市長の就任時の平均年齢は40.8歳だ。
ちなみにエアランゲンに隣接する町の現市長、トーマス・ユング博士(フュルト市)とウルリッヒ・マーリー博士(ニュルンベルク市)もともに就任時は41歳だった。
市 長 | 就任年 | 就任当時の年齢 |
フロリアン・ヤニック | 2014 | 34 |
シーグフリード・バライス | 1996 | 43 |
ディートマー・ハールベーク | 1972 | 37 |
ハインリッヒ・ラーデス | 1959 | 45 |
ミヒャエル・ポシュケ | 1946 | 45 |
若ければよい、というわけではないが
若い政治家はもっといる。新聞サイトを検索しているとステファン・ロットマン氏(ショーヌンゲン、2012年就任、当時25歳)など20代の市長もちらほら。
2002年の連邦議会選で話題になったのが、最年少議員の誕生だった。アンナ・リューマン氏(緑の党)。当時19歳だった。
もちろん、政治家は『若ければよい』というわけでもない。が、若い政治家が登場しやすい理由として、選挙にお金があまりかからない、政党および関連組織が活発、いわゆるエリート教育に相当するものが残っている、といったことが考えられる。
日本でも昨年、美濃加茂市(岐阜県)で28歳の市長が誕生するなど、『若い市長』は増えているように思える。(了)
高松平藏 著書紹介(詳しくはこちら)
エアランゲン市の市長たちの「仕事ぶり」も紹介しています。
執筆者:高松平藏(たかまつ へいぞう)
ドイツ在住ジャーナリストで当サイトの主宰者。 著書に「ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか」など。
2020年には「ドイツのスポーツ都市 健康に暮らせるまちのつくり方」 (学芸出版 3月)、「ドイツの学校には なぜ『部活』がないのか 非体育会系スポーツが生み出す文化、コミュニティ、そして豊かな時間」(晃洋書房 11月)を出版。一時帰国では講演・講義、またドイツでも研修プログラム「インターローカルスクール」を主宰している。プロフィール詳細はこちら。