例えば、部活動の地域移行という課題。ここでは「スポーツとは何か」「社会におけるスポーツの役割は何か」といった根本的な議論がほとんど見られない。

同様に、「まちづくり」や企業の持続可能性といったテーマでも、日本で当然視されている価値観や経済システムが無自覚のまま議論が進んでいる。例えるならば、応用研究に相当する議論に注力するあまり、基礎研究に当たる部分が脆弱になっているのだ。

この認識を踏まえ、2024年は「答えより問い」を意識した活動に取り組んだ。2025年も引き続き、執筆や講演活動に反映していきたい。(了)


以下、「答えより問い」を意識して行った主な仕事:

  • 【書籍】名古屋学院大学の「ストック・シェアリング」研究プロジェクトの成果本が出版された。私も第9章を執筆する機会をいただいた。「ストック・シェアリング」は従来の「減価償却型」社会から、時間とともに価値が増える「増価蓄積型」社会への転換を提案する研究。日本の地方再生や持続可能な都市づくりに新たな視点を提供できると思う。
  • 【記者会見型講義】「スポーツを地域のエンジンにする作戦会議」の共著者、有山篤利さん(追手門学院大教授)教授の学生さんを対象に「記者会見型講義」を実施。これは学生さんが拙著を読んで、記者会見さながらに私に質問をぶつけるというもの。この方式は過去にも実施したことがあったが、「前提」「常識」とは何かというところまで到達しやすい。

また、エアランゲンにお越しになった方の一部の対話は対談記事として当サイトに掲載した。


著書紹介(詳しくはこちら
ドイツの「地域社会」がどういうふうに成り立っているか? 


執筆者:高松平藏(たかまつ へいぞう)
ドイツ在住ジャーナリスト。エアランゲン市(人口約12万人 バイエルン州)を拠点に、地方の都市発展を中心テーマに取材、リサーチを行っている。執筆活動に加えて講演活動も多い。 著書に「ドイツの地方都市はなぜ元気なのか」「ドイツの都市はなぜクリエイティブなのか」など。当サイトの運営者。プロフィール詳細はこちら