拙著「ドイツの学校にはなぜ『部活』がないのか」(晃洋書房)の一部を、国際武道大学の2022年度入試問題に使っていただいた。
2022年3月21日 文・高松平藏(ドイツ在住ジャーナリスト)
入試問題は論述形式。本書110ー113ページ(写真)でドイツの「スポーツクラブ」と日本の「運動部活」を比較しているが、これを読んで次の2つが問いこたえるというもの。
問1 ドイツの「スポーツクラブ」と日本の 「運動部活動」の、 「スポーツ組織」としての目的は何か。 それぞれ、 20字~40字以内で簡潔に答えなさい。
問2 この文章を読んで、 これからの「運動部活動のあり方」はどうあるべきか。 あなたの考えを400字以内で述べなさい。
皆さんなら、どう論述するだろうか?ちなみに「過去問題」として同大学のサイトからPDFファイルでダウンロードできる。
日本で部活に対する議論がおこって久しい。
それは、指導などの「部活内」の問題のみならず、教員の労働問題につながる。さらには部活の地域スポーツへの移行という論点も出てきた。
これらの個別の議論はもちろん大切だ。しかし遠くから日本を見ている立場からいえば、「これからの日本社会をどのようにすべきか」という大きな問いと重ねて考えていかねばならないと思う。
ひるがえって、同大学の学生さんの卒業後の進路(2022年4月8日閲覧)を見ると「教職」が最も多く、ほかにも「コーチ・トレーナー」「スポーツ関係」といった職業が目につく。受験生も将来こういった仕事をしようと考えている人達が多いのだろう。
こういう若い人に対して、入試問題を通して「部活のあり方」という問いが向けられた。これ自体が日本社会の変化の一端に見えてくる。どんな回答があったのか興味深い。(了)
著書紹介(詳しくはこちら)
執筆者:高松平藏(たかまつ へいぞう)
ドイツ在住ジャーナリストで当サイトの主宰者。 著書に「ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか」など。
2020年には「ドイツのスポーツ都市 健康に暮らせるまちのつくり方」 (学芸出版 3月)、「ドイツの学校には なぜ『部活』がないのか 非体育会系スポーツが生み出す文化、コミュニティ、そして豊かな時間」(晃洋書房 11月)を出版。一時帰国では講演・講義、またドイツでも研修プログラム「インターローカルスクール」を主宰している。プロフィール詳細はこちら。また講演や原稿依頼等はこちらを御覧ください。