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久屋大通り。名古屋の戦後復興のインフラ整備として知られる「100m道路」。(Google Earthより)


高松:私が住むエアランゲン市も先駆的な自転車都市のひとつです。70年代末から整備が始まり、アップグレードを続けている。最近は、都市間の自転車道ネットワークの拡充を進めています。名古屋の自転車道の整備はどんな具合ですか?

井澤:メインの幹線道路でところどころ整備ははされていますが、距離的にはまだまだ。ヨーロッパでいわれているネットワークをつくるという状態ではまったくない。

名古屋市内の自転車道(写真:井澤知旦さん提供)

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高松: コロナの少し前から日本で自転車通勤が増えたようですが。

井澤: 一部でそういう動きはありますが、一般化していません。自転車道のニーズ自体それほど高くない。それでも、今後は日本でも自転車用途に変更するのが当たり前になるかもしれませんが。ひるがえって、エアランゲンの自転車通勤の比率は高いですか?

高松:隣接する都市に比べるとエアランゲン市は高いですね。これは一般の交通調査ですが、エアランゲン市内の交通手段で、自転車と徒歩の合計が53%。そして公共交通が10%。残り38%が自動車です。(下グラフ)


井澤:デンマークのコペンハーゲンも自転車の街です。10年ほど前に訪ねたとき、通勤の自転車利用の比率50%を目標にしますと言ってた。最近、ネットで調べたら、達成してましたね。

通勤の自転車利用比率50%を達成したコペンハーゲン(写真:井澤知旦さん提供)
コペンハーゲンの自転車道(写真:井澤知旦さん提供)

パリと自転車


井澤:コロナとの関係でいえば、パリも自動車を通らないようにして、人々の移動は車道で自転車というネットニュースが出ましたよね。 

高松:私も読みました。昨年、約20年ぶりにパリへ休暇で行きました。当時も感じたのですが、古い都市なので、新しいインフラの導入にとても苦労している印象がある。自転車道も同様で、意外と車道を走っている人が目についた。東京なんかでも見られる風景です。 

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