トイツ・エアランラン市に本社を置く都市計画のコンサルティング会社、アマキ・シュタット社(アルフレート・アマキ社長)が日本へ進出。広場や歩行者ゾーンをしつらえた欧州風の町並みのテーマパークから本物の都市に変容させる事業に着手する。
(注・この記事はエイプリルフールにちなんだウソっぱちニュースです)
2015年4月1日 文・高松平藏(ドイツ在住ジャーナリスト)
欧州風の日常を余暇として楽しむ
同社社長のアマキ氏によると、テーマパーク『ウォーキング・シティ』は欧州の中世の町をモデルにしたもので、欧州風の日常を楽しんでもらう。敷地内の中央に広場をつくり、道は石畳。電柱ももちろんない。場内に自動車は入れないが、周辺に駐車場を用意する。自転車の持ち込みはできるが専用道のみ走行可能。歩く速度が基準のゆったりした都市生活を体験できる滞在型余暇空間だ。
テーマパーク内には通常の商業施設や飲食店、銀行などのほか、庭園、ギャラリー、劇場なども建て、老人ホーム、スポーツ施設、長期滞在ができる居住空間などもつくる。またコンビニや大手ハンバーガーショップなどのチェーン店も軒をならべる。ただし、いずれも中世の欧州の町を思わせるデザインにする。テーマパーク内の施設で働く人たちは敷地内の居住空間に住み、『在住キャスト』と呼ばれる。
消費者から定住者へ
滞在客はSNSなどで写真や映像を発信すると料金が少し安くなるほか、客同士がテーマパーク内で楽しむための任意グループを作ると割引特典もある。さらに、広場で簡易商店を開いたり、音楽演奏やダンスを披露し、投げ銭をもらうのも可能。新事業を思いついた客はそのまま住み着いて、条件があえば事業を行ってもよい。こうしたことによって『長期滞在の客』が定住者に変貌することができる。
定住者が一定数を越えたら、自治組織を作ってもらう。この段階に達すると、同社はテーマパークのエネルギー・水供給や環境整備などに徹する。『「客のつもりが、住民に」というのが狙いだ。消費目的の空間にいながら、ついつい作り手や居住者になっていく。これは思いのほか面白いはず。消費空間以上の価値が生まれるだろう。ちょっと古い言い方だが、テーマパーク2.0といったところだ』とアマキ氏は笑う。
将来は里山型テーマパークも
アマキ・シュタット社は同事業に先立ち、遊園地ズィデニーランド運営会社やイオシモール社らと共同で日本法人『テーマパーク・トリック社』を設立する。『テーマパークの建設・運営のために、これらの企業のノウハウに期待できる』(同社長)。また1970年代、80年代から市街の歩行者ゾーン化、自転車道の整備などを進めたエアランラン市の元市長にも顧問に就任してもらう。
『個人的な話だが、私にはトイツ以外に日本にもルーツがあり、数年前に初めて日本へ行った。親戚の1人が欧州の町をモデルにしたテーマパークで勤務していることから、テーマパークの存在とその人気を知った。また日本は市場経済がユニークな発展をしており、個人の消費行動に独自のものがある』。こうしたことから同事業を思いついたと同氏は言う。
『将来は日本における「故郷」のイメージを研究し、里山型テーマパークなども考案していきたい』と意欲を見せる。(了)
(注・この記事はエイプリルフールにちなんだウソっぱちニュースです)
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2冊の拙著はエイプリルフール仕様ではありません。このウソっぱちニュースに出てくる町のリアル版。また冒頭のマクドナルドの看板はローテンブルクで撮影したもの。本物です。
執筆者:高松平藏(たかまつ へいぞう)
ドイツ在住ジャーナリストで当サイトの主宰者。 著書に「ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか」など。
2020年には「ドイツのスポーツ都市 健康に暮らせるまちのつくり方」 (学芸出版 3月)、「ドイツの学校には なぜ『部活』がないのか 非体育会系スポーツが生み出す文化、コミュニティ、そして豊かな時間」(晃洋書房 11月)を出版。一時帰国では講演・講義、またドイツでも研修プログラム「インターローカルスクール」を主宰している。プロフィール詳細はこちら。